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矯正に関する知識

その「いびき」、歯並びが原因かも?矯正治療で改善できる可能性と、病院選びの正しい順番

いびきに悩む女性がベッドの上で口元を気にしている様子。白と淡いブルー基調で清潔感と安心感のある背景。タイトル文字入り。

こんにちは。東京都葛飾区の歯医者 新小岩いろは歯科・矯正歯科、院長の細谷 亜沙美です。患者様のお悩みは、お口の中だけにとどまらず、日常生活の様々な側面に及ぶことがあります。その中でも、ご自身だけでなく、ご家族など周りの方にも影響を与えかねないのが「いびき」の問題です。先日、ご自身の健康意識が非常に高い方から、このようなご相談をいただきました。

「長年いびきに悩んでいます。歯列矯正で改善することがあると聞いたのですが、本当でしょうか?改善のために、病院の受診も考えているのですが、同じような悩みを持つ方がどうされているか、アドバイスをいただきたいです。」

いびきの原因を、ご自身の歯並びや顎の骨格と結びつけて考えられたこと、素晴らしい視点だと思います。実際に、歯科、特に矯正歯科の領域は、いびきや、その背景に隠れている可能性のある「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と非常に深い関わりを持っています。今回は、歯並びといびきの関係、矯正治療で何ができるのか、そして最も大切な「お悩みを解決するための、正しい医療機関のかかり方」について、詳しく解説していきます。

1. なぜ歯並びが「いびき」に関係するの?気道のスペースが鍵

横顔の模型を使って歯並びと気道の位置関係を説明する日本人女性歯科医師。明るい診療室で実写風。

いびきは、眠っている間に空気の通り道である「気道(きどう)」、特に喉の奥が狭くなり、そこを空気が通る時に粘膜が振動して鳴る音です。では、なぜ歯並びが気道を狭くする原因になるのでしょうか。それには、顎の骨格と舌の位置が大きく関係しています。

  • 顎が小さい・後ろに引っ込んでいる 日本人に比較的多い骨格の特徴として、下顎が小さい、または上顎に対して下顎が後ろに下がっている(下顎後退)ケースがあります。このような骨格の場合、必然的に舌が収まるスペースも狭くなります。行き場を失った舌の付け根(舌根)は喉の奥のほうに落ち込みやすくなり、特に仰向けで寝た際に、重力でさらに喉を塞いで気道を狭めてしまいます。
  • 歯並びがガタガタ・出っ歯である 歯のアーチ(歯列弓)が狭く、歯がガタガタに生えている場合、それは土台である顎の骨が小さいことの現れでもあります。また、「出っ歯(上顎前突)」で口が閉じにくい方は、無意識に口呼吸になりがちです。口呼吸になると、鼻呼吸に比べて舌の位置が下がり、喉の奥に落ち込みやすくなるため、いびきの原因となります。

つまり、「歯並びや骨格の問題」が「舌の正しい位置を妨げ」「気道を狭くする」という形で、いびきに繋がっているケースは少なくないのです。

2. 歯列矯正がいびき改善に貢献できるケースとは

矯正用マウスピースを手に持ち、日本人患者に説明する日本人女性歯科医師。清潔感のある白衣姿。

上記の原因に対し、歯列矯正は根本的な改善を促せる可能性があります。

  • 歯列弓の拡大 特に成長期のお子様の場合、矯正装置を使って上顎の骨(歯列弓)を側方に拡大することで、鼻の通り道である鼻腔の底が広がり、鼻呼吸がしやすくなります。成人でも、歯を動かして歯列弓を広げることで、舌が収まるスペースを確保し、正しい位置に導く手助けができます。
  • 下顎を前方に誘導する 下顎が後ろに下がっているケースでは、矯正治療によって下顎を前方へ成長させたり(成長期の場合)、噛み合わせを整えて下顎が前方で安定する位置に導いたりすることで、舌根が引き上げられ、気道の閉塞を緩和する効果が期待できます。重度の骨格性の問題がある成人の方では、外科手術を伴う矯正治療(外科的矯正治療)が劇的な効果をもたらすこともあります。

このように、歯列矯正は単に歯を綺麗に並べるだけでなく、気道の確保という機能的な側面からも、いびきの改善に貢献できるポテンシャルを秘めているのです。

3.【重要】いびきは身体からの危険信号。自己判断は禁物です

日本人中年女性がいびきをかいて寝ている隣で、心配そうに見つめる日本人パートナーの姿。明るい寝室で実写風。

歯列矯正の可能性についてお話ししましたが、ここで一つ、非常に重要なことをお伝えしなければなりません。それは、「いびき=歯並びの問題」と自己判断して、いきなり矯正歯科に相談に行くのは、必ずしも正しいルートではない、ということです。

いびきは、時に「睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea: OSA)」という、深刻な病気のサインである可能性があります。これは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする状態で、高血圧、心疾患、脳卒中などの生活習慣病のリスクを著しく高めることが知られています。

いびきの原因は、これまでお話しした骨格の問題以外にも、肥満、扁桃腺の肥大、鼻の疾患(アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症など)、アルコールや喫煙など、多岐にわたります。これらの原因を特定し、睡眠時無呼吸症候群の有無を正確に診断するのは、歯科医師ではなく、医科の専門領域です。

4. 悩んだらまずココ!病院を受診する「正しい順番」

受付カウンターで笑顔の日本人女性スタッフが少しぽっちゃりした日本人女性患者を案内している場面。安心感と信頼感を演出。スタッフは事務服を着ている。

では、いびきに悩んだら、まずどこへ行くべきなのでしょうか。最も推奨される「正しい順番」は以下の通りです。

  1. 【ステップ1:医科を受診】耳鼻咽喉科、または睡眠外来・呼吸器内科へ まずは、いびきの専門家である医科の先生に相談しましょう。喉や鼻の状態を診察し、必要であれば、ご自宅でできる簡易検査や、病院に一泊して行う精密検査(ポリソムノグラフィー検査)などを行い、いびきの重症度や睡眠時無呼吸症候群の有無、その原因を正確に診断してくれます。
  2. 【ステップ2:診断に基づく連携】専門医から歯科・矯正歯科へ 医科での診断の結果、「原因が顎の骨格や歯並びにある可能性が高い」と判断された場合、あるいは「マウスピース治療が有効」と判断された場合に、専門医から私たち歯科医師へ紹介状が出されます。この「医科歯科連携」こそが、安全で効果的な治療への最短ルートです。

いきなり矯正歯科に来ていただいても、私たちは睡眠の質を診断する検査はできません。まずは身体全体の専門家であるお医者様の診断を仰ぎ、その上で私たちがお手伝いできることを一緒に探していく、という流れが最も理想的です。

5. 矯正治療だけじゃない、歯科でできる「スリープスプリント」という選択肢

医科で軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、歯科で「スリープスプリント(口腔内装置)」という治療法が選択されることが非常に多くあります。

これは、夜間に装着するオーダーメイドのマウスピースで、下の顎を少し前に出した状態で固定することで、舌が喉の奥に落ち込むのを防ぎ、気道を確保する装置です。歯列矯正のように歯を動かすものではありませんが、いびきや無呼吸に対して非常に高い効果が認められており、健康保険が適用される場合もあります。

このスリープスプリントの作製も、私たち歯科医師の重要な役割です。矯正治療という長期的なアプローチだけでなく、このような対症療法的なアプローチも選択肢として存在することを知っておくと良いでしょう。

まとめ

ぐっすり眠る日本人女性が穏やかな表情で眠っている様子。白と淡いブルー基調の寝室で清潔感のある雰囲気。

「いびき」というお悩みから、「歯列矯正」という選択肢に気づかれたあなたの洞察力は、健康への第一歩として非常に価値のあるものです。最後に、今日お話しした大切なポイントをまとめます。

  1. 歯並びや顎の骨格は、いびきの原因になりうる。 歯列矯正は、その根本原因を改善できる可能性がある。
  2. しかし、いびきは睡眠時無呼吸症候群という病気のサインかもしれないため、自己判断は危険。
  3. 悩んだら、まず**「耳鼻咽喉科」や「睡眠外来」を受診**し、正確な診断を受けることが最優先。
  4. 医科の診断に基づき、必要であれば歯科と連携して、歯列矯正やスリープスプリント(マウスピース)などの治療に進むのが、最も安全で効果的な道のり。

あなたのそのお悩みは、矯正歯科医だけ、あるいは内科医だけで解決するのではなく、医科と歯科がチームとなって向き合うべき問題です。まずは勇気を出して、お近くの耳鼻咽喉科や睡眠外来の扉を叩いてみてください。その行動が、質の高い睡眠と、健やかな未来へと繋がっています。

以上、東京都葛飾区の歯医者 新小岩いろは歯科・矯正歯科、院長の細谷 亜沙美でした。

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