治療後も安心!葛飾区の歯医者が教える矯正のケア方法3選|後戻りを防ぐリテーナーとメンテナンスの極意
こんにちは。東京都葛飾区の歯医者、新小岩いろは歯科・矯正歯科 院長の細谷 亜沙美です。
長い期間と費用をかけて、ついに矯正装置が外れる日。鏡を見て、きれいに並んだご自身の歯を見たときの感動は、何物にも代えがたいものでしょう。「これでやっと、何でも好きなものを食べられる!」「歯磨きが楽になる!」と、開放感でいっぱいになる瞬間です。しかし、ここで私たち歯科医師が必ずお伝えしなければならない、少し厳しいけれど非常に重要な事実があります。それは、「装置が外れた時が、矯正治療の本当の終わりの始まりである」ということです。
矯正治療直後の歯は、実はまだ骨の中でしっかりと固定されておらず、非常に不安定な状態にあります。何のケアもしなければ、歯は必ず元の位置に戻ろうとする動き、いわゆる「後戻り」を起こしてしまいます。せっかく手に入れた美しい歯並びが、数年後にはガタガタに戻ってしまった……そんな悲しい結末を迎えないために、治療後のケア(保定期間)は、歯を動かしていた期間と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのです。今回は、葛飾区で矯正治療を終えた皆様、あるいはこれから治療を始める皆様に向けて、美しい歯並びを一生モノにするために絶対に欠かせない「3つのケア方法」と、それに関連する重要な知識について、詳しく解説していきます。
目次
1. ケア方法1:これが命綱!「リテーナー(保定装置)」の正しい装着と管理
を洗浄液に浸けている様子。清潔感と衛生意識を感じる構図。.jpg)
矯正治療後のケアにおいて、最も重要であり、患者様ご自身の協力が不可欠なのが「リテーナー(保定装置)」の装着です。なぜリテーナーが必要なのでしょうか。歯を動かす治療(動的治療)が終わった直後の歯は、新しい位置に移動したばかりで、歯を支えている骨(歯槽骨)や、歯と骨をつなぐ繊維(歯根膜)がまだ新しい環境に馴染んでいません。例えるなら、コンクリートがまだ乾ききっていない状態のようなものです。この状態で何もしなければ、歯根膜の弾力性や、噛む力、頬や舌の圧力によって、歯は容易に元の位置に戻ろうとします。この「後戻り」を防ぎ、歯の周囲の組織が新しい位置で安定するまで、歯を留めておく装置がリテーナーです。
リテーナーには、取り外しができる「マウスピース型」や「プレート型」、歯の裏側に細いワイヤーを接着する「固定式(フィックスタイプ)」などがあります。どのタイプを使用するかは、元の歯並びの状態や治療内容によって歯科医師が判断しますが、どのタイプであっても、その使用ルールを守ることが鉄則です。一般的に、装置を外してから最初の半年〜1年程度は、骨が安定するまでの最も重要な時期であるため、食事と歯磨きの時以外は「1日20時間以上」の装着をお願いしています。その後、歯並びの安定を確認しながら、徐々に夜間のみの使用へと移行していきます。「ちょっとくらいサボっても大丈夫だろう」という油断が、数ミリの後戻りを生み、それが積み重なって大きな崩れにつながります。
このリテーナー生活には、メリットとデメリットがあります。メリットはもちろん、きれいな歯並びを維持できることです。デメリットとしては、取り外しの手間がかかることや、自己管理が必要な点です。特にマウスピース型の場合、外食時にティッシュに包んで置いておき、間違って捨ててしまうという紛失事故が後を絶ちません。リテーナーを再製作する場合、追加の費用(数千円〜数万円程度)がかかるだけでなく、製作期間中に歯が動いてしまうリスクもあります。「外したら必ずケースに入れる」を習慣づけ、この期間を乗り切ることが、将来の笑顔を守る最大の鍵となります。
2. ケア方法2:後戻りの原因にもなる歯周病を防ぐ「プロフェッショナル・メンテナンス」

2つ目のケア方法は、歯科医院での定期的な「メンテナンス(検診・クリーニング)」です。「歯並びがきれいになったから、もう歯医者に行かなくても大丈夫」と思われている方がいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。実は、お口の中の衛生状態が悪化し、歯周病(歯槽膿漏)になってしまうと、歯並びにも悪影響を及ぼすことをご存知でしょうか。歯周病は、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かしてしまう病気です。骨の支えが弱くなると、歯は噛む力に耐えられず、病的に移動し始めます(病的歯牙移動)。その結果、せっかく矯正できれいに並べた前歯が扇状に広がってきたり(フレアーアウト)、隙間ができたりしてしまうのです。
また、矯正治療後は、リテーナーを使用するため、どうしてもお口の中に装置が入っている時間が長くなります。固定式のリテーナーの場合はワイヤーの周りに、取り外し式の場合はご自身の歯と装置の間に、プラーク(歯垢)や歯石が溜まりやすくなります。これらはご自宅での歯磨きだけでは完全に除去することが難しく、放置すれば虫歯や歯周病の温床となります。特に、大人の矯正治療の場合、加齢とともに歯茎が下がりやすくなっているため、より厳密なケアが求められます。
そこで重要になるのが、3ヶ月〜半年に一度のプロフェッショナル・メンテナンスです。歯科医院では、専用の機械を使ったクリーニング(PMTC)で、普段の歯磨きでは落としきれないバイオフィルムや歯石を徹底的に除去します。また、リテーナーが変形していないか、歯並びにズレが生じていないか、噛み合わせに問題がないかなどを、プロの目で細かくチェックします。 このメンテナンスには、1回あたり数千円程度の費用と、通院の時間というコストがかかります。しかし、これを継続することで、虫歯や歯周病による再治療のリスクを回避し、結果として生涯にかかる歯科医療費を抑えることができます。何より、いつまでも若々しい口元を維持できるという精神的なメリットは計り知れません。当院では、新小岩エリアの皆様が通いやすいよう、丁寧かつ効率的なメンテナンスシステムを整えています。
3. ケア方法3:無意識の力から守る「MFT(口腔筋機能療法)」と生活習慣

3つ目のケア方法は、少し視点を変えて、歯並びを悪くする「原因」を断ち切るトレーニングと生活習慣の見直しです。歯は、外側からの「唇や頬の筋肉の力」と、内側からの「舌の筋肉の力」の均衡が取れた位置に並んでいます。もし、この筋肉のバランスが崩れていると、いくら矯正で歯を並べても、筋肉の力によって再び歯が動かされてしまいます。特に注意が必要なのが、「舌の癖(舌癖)」と「口呼吸」です。
本来、安静にしている時、舌の先は上の前歯の少し後ろの歯茎(スポット)に触れており、舌全体が上顎(口蓋)に吸い付いているのが正しい位置です。しかし、舌が低い位置にあったり、飲み込む時に舌で前歯を押したりする癖があると、その持続的な圧力によって、歯は徐々に前方に押し出され、出っ歯や開咬(前歯が噛み合わない状態)の後戻りを引き起こします。また、口呼吸でお口がポカンと開いていると、唇が歯を押さえる力が弱まり、やはり歯が前に出てきやすくなります。
こうした筋肉の不調和を改善するために行うのが、「MFT(口腔筋機能療法)」と呼ばれるお口の筋トレです。舌を正しい位置に挙上するトレーニングや、唇を閉じる力を鍛えるトレーニングを行い、無意識の状態でも正しい筋肉の使い方ができるように習慣づけます。これは、地味なトレーニングに見えますが、矯正治療の安定性を高めるためには極めて重要な要素です。 また、日常生活における「頬杖」や「うつ伏せ寝」、「横向き寝」といった態癖(たいへき)も、長時間顎に力がかかり続けるため、歯列の歪みや顎関節症の原因となります。これらの無意識の癖を自覚し、改善していくことは、費用をかけずにできる最高のセルフケアです。当院では、必要に応じてMFTの指導も行っており、歯並びだけでなく、お口周りの機能から美しさをサポートしています。
4. 知っておくべきリスク:親知らずが歯並びに与える影響と抜歯のタイミング
.jpg)
矯正治療後の後戻りの要因として、もう一つ見逃せないのが「親知らず(第三大臼歯)」の存在です。親知らずは、10代後半から20代にかけて、一番奥に生えてくる永久歯です。現代人は顎が小さくなっている傾向があり、親知らずが真っ直ぐに生えるスペースがなく、横向きや斜めに埋まっているケースが多く見られます。
この親知らずが成長しようとして手前の歯をグイグイと押すと、その力がドミノ倒しのように前歯まで伝わり、きれいに並べた前歯が再び重なり合ってガタガタになってしまう(叢生)ことがあります。これを防ぐためには、適切なタイミングでの親知らずの抜歯が必要です。 矯正治療前、あるいは治療中に抜歯を行うこともありますが、年齢や埋まり方によっては、矯正終了後の保定期間中に抜歯をお勧めすることもあります。
親知らずの抜歯は、口腔外科的な処置となるため、「痛そう」「腫れそう」といった不安を感じる方も多いでしょう。確かに、術後の数日間は痛みや腫れが出ることがあり、一時的な食事の制限などの身体的デメリットはあります。しかし、放置して歯並びが崩れてしまい、再矯正が必要になった場合の費用や期間の負担と比べれば、そのメリットは非常に大きいと言えます。 当院は総合歯科医院ですので、矯正治療だけでなく、親知らずの診断や抜歯についても対応可能です(難症例の場合は専門機関へご紹介することもあります)。レントゲンやCTで親知らずの状態を確認し、歯並びに悪影響を及ぼすリスクが高いと判断された場合は、せっかくの矯正結果を無駄にしないためにも、抜歯を検討することをお勧めします。
5. 治療終了後のトラブル対応:リテーナーの破損や紛失時のアクション

どんなに気をつけていても、リテーナーが割れてしまったり、紛失してしまったりすることは起こり得ます。また、固定式リテーナーの接着剤が一部剥がれてしまうこともあります。このようなトラブルが起きたとき、最も避けていただきたいのは「次の検診までそのままでいいや」と自己判断して放置することです。
リテーナーを使用していない期間が長くなればなるほど、歯は確実に後戻りを起こします。数日程度であれば大きな変化はないかもしれませんが、数週間、数ヶ月と放置すると、元のリテーナーが入らなくなるほど歯が動いてしまうことがあります。こうなると、リテーナーの作り直しだけでなく、最悪の場合は、再度ワイヤーやマウスピースをつけて歯を動かす「再矯正(リカバリー)」が必要になってしまいます。再矯正には、当然ながら追加の費用と時間がかかります。
もしトラブルが起きたら、できるだけ早く、数日以内に歯科医院へ連絡してください。破損したリテーナーがあれば、修理で対応できる場合もありますので、捨てずに持参しましょう。また、リテーナーを装着していて「きつい」「痛い」と感じる場合も、歯が少し動いてしまっているサインかもしれません。無理に使用し続けると歯茎を傷つけることもあるため、この場合も早めにご相談ください。 当院では、治療終了後の患者様からの緊急のご連絡にも柔軟に対応できる体制を整えています。「何かあったらすぐに連絡する」という意識を持つことが、きれいな歯並びを守るための最後の砦です。
まとめ

矯正治療後のケアについて、3つの方法と関連する重要事項を解説しました。
- リテーナーの徹底:指示された装着時間を守り、紛失に注意して管理することが、後戻りを防ぐ最重要項目です。
- 定期メンテナンス:3ヶ月〜半年に一度のプロケアで、歯周病による歯並びの崩れを防ぎ、装置の不具合をチェックします。
- MFTと生活習慣:舌癖や口呼吸、頬杖などの悪習癖を改善し、筋肉のバランスを整えて歯並びを安定させます。
これらに加えて、親知らずのリスク管理や、トラブル時の迅速な対応も大切です。 矯正治療は、装置が外れたらゴールではありません。そこから始まる「維持する期間」も含めて、一生続くプロジェクトです。 新小岩いろは歯科・矯正歯科では、治療中はもちろん、治療後のアフターフォローまで、患者様と長くお付き合いできるパートナーでありたいと考えています。葛飾区で矯正治療をお考えの方、あるいは他院で治療を終えたけれどメンテナンス先をお探しの方も、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの美しい笑顔を、一生涯守り抜くお手伝いをさせていただきます。
以上、東京都葛飾区の歯医者 新小岩いろは歯科・矯正歯科、院長の細谷 亜沙美でした。
📅初診のご予約はこちらから
👉電話予約📞03-6231-5751
👉スタッフ紹介🥼